車の査定で「少し運転して確認したい」と言われたら、すぐに鍵を渡してよいのでしょうか。まず、エンジンをかけるだけなのか、駐車場内で動かすのか、公道へ出るのかを分けて聞きましょう。

試乗の有無・範囲は、予約先に確認します。
担当者の運転を認める前に、運転者、経路と所要時間、事故・損傷時の窓口と保険の扱いを具体化。試乗への同意と、車を売る契約への同意は分けて扱います。

「試乗」に含まれる作業を先に聞く

「車を見せてください」という説明だけでは、どこまで行うのか分かりません。売主が運転して音を確認してもらうのか、担当者がハンドルを握るのかも異なります。以下は査定内容を尋ねるための整理であり、すべての店が実施する作業一覧ではありません。

予定される確認鍵を渡す前に聞くこと
停車したままの始動・装備確認誰が操作するか、動かさない予定か、事前に伝える不具合があるか
敷地内の移動移動先、通路・高さ・出入口の制限、駐車場管理者への確認が必要か
公道での試乗運転者、経路、時間・距離の目安、同乗可否、事故時の対応
店舗や別施設への持出し単なる試乗か預かり検査か、返却日時・場所、預かりの控え

時間が限られる場合は、試乗を含む査定・説明の終了予定を聞いてください。査定時間と商談を含む予定の立て方も参考になります。「試乗は何分が普通」と一律に見積もらず、その店が当日行う内容で予定を組みます。

運転する人・経路・同乗を確認する

予約した会社・店舗と担当者名を照合し、別の担当者が運転するなら、その人の所属も聞きます。担当者が運転する車種に必要な免許を持つことの確認方法も、店に相談してください。免許証のコピーを自己判断で収集することまでは勧めていません。

同乗できれば安心材料にはなりますが、保険や責任の確認を省けるわけではありません。逆に、同乗できないというだけで不正とは決めつけず、理由と車の管理方法を確かめます。出張査定と持込み査定の選び方も踏まえ、自宅付近での走行が不安なら別の場所・方法を相談しましょう。

「保険に入っている」だけで終わらせない

自分の車に任意保険があるから、査定担当者の運転も必ず補償されるとは判断しません。運転者の範囲や年齢、使用状況、事故内容などによって扱いが異なり得ます。買取店側の保険についても、名称だけで対象範囲を決めず、店から説明を受けてください。

「何かあれば全部大丈夫」という説明しか得られないなら、確認できるまで走行を待ってもらいます。売主の保険を使う前提なら、担当者の説明だけでなく、自分の保険会社にも契約内容を照会してください。この記事は個別の保険の適用や、事故時の法的責任を判定するものではありません。

動かす前に、車の状態と車内を整理

警告灯、異音、ブレーキやタイヤの不安、長期保管など、把握している状態を先に伝えます。「査定のためだから」と安全性が分からない車を走らせて確認する必要はありません。車検切れや自走できない車は、その状態を伝えて出張確認・搬送等を相談します。故障車・動かない車の査定手順へ進んでください。

出発前には、車体の目立つ傷、走行距離、燃料残量、渡す鍵の本数を一緒に確認しておくと、帰着後の照合に使えます。写真を残す場合は、人や周囲の車の個人情報をむやみに写さず、日時と確認箇所が分かる形で保管します。写真だけで原因や責任が確定するわけではありません。

ETCカード、財布、家の鍵など、試乗に不要な私物は手元へ。査定段階で、今後使うナビ設定や必要な記録をすべて消す必要はありません。売却が決まった後の初期化とは分け、引渡し前の個人情報整理で最終確認を行います。

試乗を断るときは、査定額の条件を確認

知らない人に運転を任せたくない、保険の確認が取れない、時間がないといった事情は、そのまま伝えて構いません。試乗なしの確認、自分が運転して担当者が同乗する方法、日程変更などが可能かを相談します。ただし、代替方法が必ず受け入れられるとは限りません。

走行確認をしないために未確認事項が残るなら、提示額が概算なのか、後の確認を条件とする額なのかを聞きます。「試乗を断れば必ず減額」「どの店でも試乗なしで金額確定」とは言い切れません。見積書で金額・条件を残す方法を使い、何が未確認かまで書面でそろえましょう。

「試乗前に、運転する方、経路と所要時間、事故時の保険と車の損傷の対応窓口を確認したいです。本日は確認が取れるまで公道走行は控えてください。停車状態での査定が可能か、その場合の提示額にどの条件が残るかも教えてください」

上記は編集部作成の文例です。試乗や査定への同意をしたからといって、売却まで決めたつもりで話を進めないようにします。署名や電子同意を求められたら、確認書の名称だけでなく内容を読み、売却契約の条件とは区別して判断してください。

戻ったら、車・鍵と気になる変化を照合する

鍵の返却、駐車位置、走行距離、車体の状態を確認します。試乗中に気づいた症状や、査定に影響する指摘は、どの場面で確認されたのかも聞きましょう。その指摘が診断済みの故障なのか、追加点検が必要という話なのかは分けて記録します。

新しい傷などが気になった場合は、発見した日時と場所を伝え、出発前の記録と一緒に店へ確認します。その場で原因を決めつけたり、説明なしに修理や免責の書類へ同意したりせず、店の回答と今後の点検・連絡予定を残してください。事故が起きた場合は安全確保と必要な警察・保険会社への連絡を優先し、査定を続けることを優先しません。

試乗後の金額変更や契約の説明に納得できない場合は、査定額が下がったときの確認を参照。解決しないトラブルは、契約書・試乗の説明・写真・連絡履歴をそろえ、消費者ホットライン188などで相談できます。

出典と対象範囲

国民生活センター:車を売る際は要注意!中古車の売却トラブル
確認日:2026年10月24日。売却契約の事前確認と、減額等のトラブル・相談先に関する一般的な注意を参照しました。同資料が試乗の義務、運転者の保険適用や損傷の負担を定めているわけではありません。試乗の確認表・連絡文例は編集部の整理です。個人が買取業者へ査定を依頼する場面を対象とし、保険の適用は各保険会社へ、個別の責任・賠償判断は専門家へ確認してください。

当日返却ではなく車を店に置いて帰る場合は、査定のため車を預けるときの確認へ。預かりの目的・返却日・費用と売却同意を分け、預かり証に残す項目を整理しています。